『月夜のデザイン列車』 【6】

『月夜のデザイン列車』 【6】

その冬、正月を挟んで高松でのデッサン講習がはじまった。





西条高校からはアユミのほかにもうひとり参加することになった。

秋になってから美大を目指してデッサンを始めたノリコ。



ノリコはアニメ部で絵を描いていたので、上達が早かった。

デッサンをしてもちゃんとカタチもとれるし、陰影をつけるのも上手い。

持ち前の才能といったところだ。



ノリコとは相部屋。

昼間は講習を受け、宿に帰ってからは英語と国語の参考書とにらめっこ。

そんな日々を送るはずだった。



だが、実際に講習に出てみると、アユミとノリコは大きなショックを受けた。





“みんな、上手い…”





まわりの塾生はもう何年もデッサンを学んでいる。

たとえ書きかけのデッサンでも、二人のデッサンとの差は歴然としていた。





“これは、美大進学はもう無理なんじゃないか…”





なんとか課題をこなすものの、落ち着かない一日を過ごし

宿に帰ってからも戸惑いで勉強ははかどらなかった…。





宿では老夫婦の経営者が二人になにかと世話を焼いてくれる。



いつも朝食を用意してくれるのだが、

いつも一品か二品多い。



「あんたら、がんばってな~!」



「トースト2枚にしといたで!ようさん食べな!」



二人はそのぬくもりがありがたかった。



このひとたちは応援してくれている。

がばらなきゃ!

せめて、デッサンのチカラをすこしでも吸収しなきゃ!



宿のぬくもりが

二人の折れそうな心を支えてていたのだった。





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