『月夜のデザイン列車』 【4】

『月夜のデザイン列車』 【4】

吐く息が白くなりかけた頃、

アユミは鉛筆デッサンに励んでいた。



ヒロコと進路のことで話し合ってた夏から、はや3ヶ月。

アユミはあれからも不安を感じつつ、やはり美大を目指しているのだった。







4Bの鉛筆で、ひたすら白いケント紙と向き合う。

目の前に置いた立体物を、紙の上に2次元で写し取っていく作業は

アユミにとっては愉しい時間だった。



もののカタチを紙に写し取るにはそれなりのテクニックが必要なのだが、

アユミは割と簡単にできた。

もともと感覚が備わっていたのだろう。



何度も線を引き直し、やがてバシッとしたカタチがとれたときの達成感は

ほかでは味わえない感覚だ。



だからこそ、こうして何時間もデッサンできるのだし、

それが受験の科目であることは唯一ありがたかった。







「おう、やっとるかぁーー!!」





没頭してデッサンに向かうアユミの背後から、

突然、独特のしわがれ声が響いた。



アユミは驚いて、鉛筆を一瞬ぎゅっとにぎりしめた。





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