『月夜のデザイン列車』 【2】
「こないだの台風のあとの雲を撮ったんよー。」
放課後の美術室で、アユミは親友のヒロコに写真を渡した。
「えー!こんな空だったん?すごー!」
写真に写った雲をみて驚くヒロコは、幼稚園のときからの親友だ。アユミと一緒に美術部で美大を目指している。
「ところでさー、受験どうするん?」
ヒロコがアユミに訊いた。
「ウチ、やっぱりムサ美かなぁ、それか東京造形。」
「そうなん? アユミ、ウチらにはハードル高いんじゃないん?」
美術部とはいえ、田舎の高校である。受験に勝てるデッサンを学ぶところは無い。
アユミたちが通う高校の美術の先生は筋金入りの皮肉屋で、社会の批判ばかりしている人物。
絵画やデッサンについての指導力を期待するのは無理だった。
したがって、ほぼ独学というのがアユミたちのデッサンだった。
「やっぱりハードル、ウチらには高いんかなぁ?」
いまから描くデッサンに備えて4Bの鉛筆を削るアユミの心が、すこし揺れた。
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2009年08月13日 コメント&トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリ: 月夜のデザイン列車
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