活字の印刷。
2008年5月7日
忠正氏と、和紙について話した。
氏はそういうものに対して感覚がスルドイ。
厚みのある和紙に活字(凸版)で印刷すると、
圧力をかけるために文字の部分が凹み、
なんともいい風合いになる。
いまはこの印刷を行っているところは非常に希だが、
一昔前か二昔前くらいには通常の印刷方法だったのだ。
私が13年前くらいに、田舎へ戻って最初に働いた会社では
まだ活字が残っていて、活字職人さんが一文字一文字拾い出して(棚から持ち出して)きては
文章に組んでいたものだ。
その職人さんとはよく話をしたし、活字の印刷方法のコツなんかも
教えてもらったものだ。
自分の仕事がイヤになると、活字部へ行っては邪魔していたように思う。
数年前までは愛媛にも活字印刷をしているところがあったが、
2001年の芸予地震で棚が崩れてしまい、
活字の分類ができなくなったことを機にやめてしまったらしい。
いまは日本国内でも扱っているところは少ない。
デジタル全盛の現代では幻の印刷技法だ、というのは言い過ぎか。
活字のことを書きすぎたが、和紙の話だ。
全国にも和紙の産地は沢山ある。
愛媛県の東予、国安地方も和紙の産地だ。
数年前に縁あって、ここの産地で漉かれた、
純楮(コウゾ)100%の名刺和紙を購入した。
すこし高値だったが、緑の褐色に光る楮の風合いがなんともたまらない。
漉いた職人さんに、紙の名前を箱に書いていただいた。
手元においておきたかったが、
今回、忠正氏の名刺に使うことになった。
過去に一度、県の公務員さんの名刺に使ったことがある。
仕上がりは上々。
1枚あたり200円近くする名刺なので、通常使用するには勇気がいるが、
ここぞ!というときに使っていたらしい。
(ご本人曰く、こんなヒラ職員がこの名刺は無いだろ~!!)
ふつう、こういう名刺を使うのは、
芸術家、花のセンセイ、染職人など、その世界でもかなり尖った方が多い。
名刺を渡した相手から、「どういうお仕事でいらっしゃいますでしょうか?」と聞かれるそうだ。
なかには「○○先生」と呼ぶ方までいたというから笑える話だ。
さて、忠正氏の名刺、どんなモノになるのやら。
出来上がりが楽しみだ。